彼は本当にいい人だった。
お待たせしました。(待ってない)
さかなクン話後半。
30分ほど待っていたら講演会が終わり、人がたくさん出てきた。
遠くでざわつきだした。
ふと上を見上げると建物の隙間からさかなクンが満面の笑みで手を振っている。
おぉ!!!
興奮して手を振り、写真を撮る同僚に
『写真は私が撮るから集中して!!』
と告げ写真を撮りまくり、さかなクンが降りてくるところを待った。
しかし同時に講演会を見ていた小学生とその保護者もたくさん出てきた。
やばい。このままだと写真どころか接近すら難しい。
とにかくさかなクンの経路を把握しなければ!と周りを見渡すとさっきまでいたあの1番のガチファンがいない!
え!?さっきまでいたよね!?どこ行った??
歓声とともに人だかりがこちらに向かってきた。
そしてその中にあの見覚えのある帽子とあの声!!
ついに!ついに来たーーーーー!!!!
もう写真を撮る使命感に燃えてる私は同僚よりもテンション爆上がりでカメラを構え必死で雛壇芸人並みに前に前に出た。
補足するが、私は人の結婚式とかもグイグイに前に出てカメラマンに煙たがられるぐらい前で写真を撮りにいく人なので、さかなクンに近づいて写真を撮りまくれる自信があった。
子供が魚の絵を描いたボードなどを見せようと呼びかけたりするとさかなクンは、マネージャーに遮られながらも一人一人にキチンと声をかけて丁寧に対応していた。
サービス精神が旺盛すぎて感動していると、大人の女性ファンが手紙を渡していた。
その辺りからマネージャーの目が厳しくなった。
ヤバイ!こちらも行かねば!!
私の隣で小さく手を振りながら喜んでる同僚に『行って!写真っっ!!』と叫びながら同僚を押し出し私が『写真、写真、写真、写真』と唱えているとさかなクンが気付いてくれすぐに写真に応じてくれた。
必死に写真を撮りお礼を告げるとさかなクンはすぐにマネージャーによって連れて行かれた。
振り向きながら、ぴょんぴょんと飛び跳ねて無邪気にみんなに手を振っているさかなクンを見て私達は大興奮だった。
色々なスタッフに囲まれながら、私達が目をつけた例の車に向かうさかなクンを見送りながら違和感を覚えた。
『あれ?あの人いない!?』
スタッフの中にあの1番さかなクンカラーを身に纏って、私達を警戒していたガチファンが紛れていた。
素早い身のこなしでいい感じにスタッフに馴染み距離をとり、車に乗り込む前のさかなクンにさりげなく手紙を渡して会場スタッフに紛れながら車にお辞儀をしていた。
流石すぎる。上には上がいた。
私達はただただ彼女に感心しながら会場を後にした。
しかし私達は目標を達成して大興奮で反省会を兼ねて打ち上げをした。
私の撮った写真だが、さかなクンが半目という残念な結果だったがそれでも同僚にえらく感謝された。
その後も2〜3回出待ちや講演会に参加して彼女は地道にファン活動をしていた。
(写真のシールもご本人からいただいた!)
ここ最近はすっかり落ち着いていたがつい先日
『久しぶりにTVでさかなクンをみたら、元彼を見た気持ちになった…』
と少し感傷的になっていた。
元彼…。